介護民俗学
『驚きの介護民俗学』(医学書院)2012年3月発行 |
六車由実・単著
『驚きの介護民俗学』
(シリーズケアをひらく) 医学書院
2012年3月7日発行
¥2,100
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ごあいさつ
大学を辞めて、高齢者介護の世界にとびこんでからまもなく三年。介護の現場は想像以上に大変ですが、利用者さんたちの子供の頃や青年期についての記憶に思わず触れる瞬間は、私に驚きと興奮と、そしてひとときの幸せを与えてくれています。
ただ残念なことに、現行の介護保険制度の下では、食事・排泄・入浴という三大介護に追われるだけで、利用者さんのそうした輝きの瞬間と掘り起こされた記憶を受け止める時間的・人員的余裕もノウハウもないのが現状です。一方、介護現場がこんなにも民俗の宝庫であるにも関わらず、これまでの民俗学はあまりにも無関心でした。
そこで、民俗研究者であり、介護職員でもあるという立場を活かし、日々の介護現場で出会う様々な利用者さんたちとの関わりや彼らの語る記憶を『驚きの介護民俗学』と銘打ってまとめてみました。介護現場の魅力とともに、民俗学的思考の面白さの再発見につながれば幸いです。
目次
はじめに
第一章 老人ホームは民俗学の宝庫
「テーマなき聞き書き」の喜び
老人ホームで出会った「忘れられた日本人」
女の生き方
第二章 カラダの記憶
身体に刻み込まれた記憶
トイレ介助が面白い
第三章 民俗学が認知症と出会う
とことんつきあい、とことん記録する
散りばめられた言葉を紡ぐ
同じ問いの繰り返し
幻覚と昔話
第四章 語りの森へ
「回想法ではない」と言わなければいけない訳
人生のターミナルケアとしての聞き書き
生きた証を継承する―『思い出の記』
喪失の語り―そして私も語りの樹海(うみ)に飲み込まれていく
第五章 「驚けない」現実と「驚き続ける」ことの意味
驚き続けること
驚きは利用者と対等に向き合うための始まりだ
おわりに
書評等
○書評
・月のコラム 鞦韆録 真中朋久 <語り>をひきだす(2010年2月3日)
http://www.sunagoya.com/jihyo/
・千里ニュータウン+万博×小山修三=吹田市立博物館!(文化人類学者で吹田市立博物館館長の小山修三さんのブログ)
(本のご紹介:『驚きの介護民俗学』 2012.3.10)
・okanokabe blog(古代文学者の岡部隆志さんのブログ)
(『驚きの介護民俗学』はお薦め 2012.3.23)
・朝日新聞 2012年4月1日
鷲田清一評「ためらいが吹き込む新しい風」
・共同通信配信 2012年4月1日〜
上野千鶴子評「回想法でも傾聴でもなく、そして民俗学でもなく」
・HONZ 2012年4月24日
山本尚毅「現実と期待の間で」
・47NEWS 2012年4月30日
片岡義博評「老人ホームで生まれた可能性」
・婦人公論 2012年5月22日号
白石公子評「老人ホームで働きながら聞き取った、市井の歴史」
・ 『日本民俗学』276号 2013年11月発行
波平恵美子評『驚きの介護民俗学』
○著者インタビュー
・週刊文春 2012年4月5日号
「著者は語る」介護の現場で見出した豊饒なる語りの世界
・中日新聞・東京新聞 2012年4月3日
「介護現場は民俗の宝庫」
・日本経済新聞 2012年4月15日
「あとがきのあと」確かな記憶と豊かな言葉
・中日新聞 2012年4月29日 「この人」欄
・東京新聞 2012年5月4日 「この人」欄
・読売新聞 2012年4月29日
「著者来店」様々な人生と出会う
・北海道新聞 2012年5月6日
「ほん 訪問」 呼び覚ます記憶の古層
・月刊文藝春秋 2012年6月号
「著者は語る 文=佐久間文子」」
・共同通信配信 2012年6月〜7月
「種をまく」
・クロワッサン 2012年6月25日号
「著者インタビュー」
・聖教新聞 2012年6月12日
「介護現場が豊かな語りの場に」
・しんぶん赤旗 2012年7月1日
「ときめきカフェ」
・日本経済新聞 2012年7月7日
「こころのページ」
○書籍紹介
・新時代(公益財団法人認知症予防財団)2012年4月15日
・しんぶん赤旗 2012年4月15日
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